科学研究費補助金 基盤研究(B) 一般「多層言語環境における第二言語話者像―トランスランゲージング志向の会話方略」(課題番号:19H01276,2019年度~2023年度)のWEBサイトです。
【本研究の概要】
世界的規模で人口移動が増加するにつれて、日本も多様な言語集団が短期・長期的に幾重にも存在する多層言語環境社会に突入しています。そのような社会では、話し相手や目的・状況に応じて、自分の言語レパートリーから言語資源を選んで用いる複言語主義的な第二言語話者が求められます。しかし、日本の言語環境文脈でのそうした第二言語話者像が具体的に示されているわけではありません。本研究では、日本における第二言語話者の文末表現、聞き手反応、意味交渉など会話方略のコード・スイッチングについて考察し、さらにそうした言語の混合使用を含む会話方略への評価を、評価者の属性の違いにより比較して、将来の多層言語環境化した日本社会における第二言語話者像がどのように変化するか示唆することを目指します。
【研究組織】
研究代表者
研究分担者
横山吉樹/YOKOYAMA Yoshiki(北海道教育大学札幌校)
【スケジュール・年次計画】
2019年度(令和元年度)
第1フェイズとして、第二言語話者の会話におけるこれらの会話方略の使用
状況を、先行研究を参考にしながら考察し、そこに見られるコード・スイッチングの特徴を分類する・データは、留学生と日本人学生がタンデム・ラーニングを行っている様子を録画する。タンデム・ラーニングは、母語の異なる学習者がペアを作って、時間設定しながら言語を代えてコミュニケーションを行う自律学習形態である。たとえば、アメリカ人留学生と日本人英語学習者がペアの場合、英語で30分、日本語で30分会話すると、母語話者と非母語話者の英語会話、母語話者と非母語話者の日本語会話のデータが得られる。中国人留学生と日本人留学生がペアになった場合は、非母語話者同士の英語会話と母語話者と非母語話者の日本語会話が得られることになる。タンデム・ラーニングの会話を録画し、コード・スイッチングの様子を考察する。
2019年9月10日(火) 科研会議(北海道大学東京オフィス)
2019年11月3日(日) 国際シンポジウム「アジア多層言語社会と複言語主義(Multi-layered Language Society and Plurilingualism in Asia」(北海道大学学術交流会館)
2019年12月27日(金) ELANを用いた相互行為分析ワークショップ(北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院)
2020年度(令和二年度)
第1フェイズのタンデム・ラーニングで得た会話データの分析を継続する。データを書き起こして、コード・スイッチングの起こっている文末表現、相槌やフィラー、意味交渉を中心に分析し、分類を試みる。
2021年2月21日(日) 国際シンポジウム開催予定(オンラインで開催)
2021年度(令和三年度)
第1フェイズで行った分析に基づいて、第2フェイズでは、文末表現、相槌やフィラー、意味交渉のコード・スイッチングを操作しながら評価者に見せる刺激会話ビデオを製作する。これを見せながら評価者にインタビューを行い、その評価や理由を記録する。結果は、評価者の属性に注目して量的に比較した後、理由をインタビューのデータを質的に分析して考察する。モノリンガルの評価者よりバイリンガルの評価者の方がtranslanguaging的な言語使用を志向すると予測する。
2021年秋 国際シンポジウム開催予定
2022年度(令和四年度)
2022年秋 国際シンポジウム開催予定
2023年度 (令和五年度)
2023年度3月 科研の総括、科研報告書作成